6月末が期限の2,000億円
ギリシャは台本どおり返済しませんでした。
「銀行が窒息状態なのにどうやって払うんだ!」
と、ギリシャのチプラス首相。
お金を返してもらうはずのIMFは、
「デフォルトではなく遅延」と公言しています。
あれっ? それっておかしくない??? なんで怒らないの?
それってデフォルトでしょ。
まあ、その通りなんですが(汗)
マスコミも「デフォルト」とは報道しにくい。
不安定な状況の中、マスコミが騒いで混乱を起こしてしまうかもしれないという配慮もあるでしょう。
IMFにしても、「ギリシャがデフォルトした」とは言いたくない・・・
いずれにしても、ギリシャは破綻しないし、ユーロに残る。
どうしてそこまで言い切れるのか? その3つの理由とは。
その1:たいした借金ではない
ギリシャは今年、3.7兆円の借金を返済しなければなりません。 3.7兆円とは巨大な金額です。
しかし、日本政府が発行する国債が年間170兆円である事を考えれば、3.7兆円はたった2.1%です。
つまり、トロイカ(EU・ECB・IMF)にとってたいした額ではないのです。
だったら早く解決すれば良いのに!
そう思いますよねぇ。
そうしない理由、それは国民感情に配慮しているからです。
だって、考えてみてください。
ドイツやその他のEU各国にしてみたら、どうして我々の血税をギリシャの借金に充てないといけないの?
ってなりますよねぇ~
それはまっとうな考え方です。
しかも、2010年くらいから色々と助けてあげているのに、開き直って「借りた金は返せない! さらにお金ちょうだい!」って、そりゃ感情的にもなりますよ!
その2:前例をつくりたくない
EUを離脱したという前例ができてしまうと、連鎖的に同じように考える国も出てくるでしょう。
そうなれば、EUの崩壊リスクが高まります。
ローマ帝国が崩壊して以降、そもそもヨーロッパ西部には多くの小国が存在しました。
中世から近代になって、むりやり一つの国になったという歴史的背景があります。
これまでも、その枠に収まらない人々が独立運動を行ってきました。
最近では、イギリスのスコットランドで、独立するかしないか?を問う住民投票が実施されました。
また、ギリシャの近辺の地中海東岸の国々では、連邦国家が崩壊し共和国として独立しました。
チェコスロバキアは、チェコとスロバキアになり、
ユーゴスラビアは、セルビア・モンテネグロを経て、セルビアとモンテネグロにそれぞれ独立しました。
ばらばらだった小国が集まりEUを作ることで、世界で地位を確保してきました。
ギリシャがEUを離脱するという前例をつくってしまったら、ドミノ倒し的に離脱する国が増える可能性が高まります。さらに、これまでくすぶっていた独立運動を刺激するでしょう。
それはどうしても避けたい!
その3:自分のせいで破綻はいや
もし、ギリシャがユーロを離脱することになれば、ギリシャ国内は大変なことになるでしょう。
これまで、ギリシャはユーロで良い思いをしてきましたが、通貨はドラクマに変わります。
ドラクマは大暴落します。だって、借金を払えないような国の通貨は持ちたくないですから。
お金を貸している側からすると、「自業自得だ!」と思うかもしれません。
しかしその影響は、ユーロ圏や全世界にも大きなダメージを与えます。
金融市場も大混乱するでしょう。
そんな事になったら、大恐慌になってしまうかも・・・
トロイカ(EU・ECB・IMF)としても、そんなスイッチは押したくない!
まるでロシアンルーレットのように、自分のところで爆発しませんように・・・
最後の切り札!
そんな状況を知ってか、ギリシャのチプラス首相が最後の切り札を出しました。
国民投票 7/5(日)に実施。 それが何を意味するのか?
それは、「話し合いで決着を付けることができなくなった」ということです。
つまり、「コントロールが困難になった」ということです。
民主主義の世界ですから、国民投票での決定は絶対です。
EUが提示した「財政再建策」とは
・一掃の財政切り詰め
・さらに年金3割カット
・税金の大幅引き上げ
この条件をギリシャ国民が受け入れるのか。受け入れないのか?
ギリシャの大手調査会社によると、財政再建策の受け入れに対して、
YES:47.2% NO :33.0%
との結果が出ています。 この数字も、プロパガンダの可能性は否定できませんが・・・
国民投票の結果如何で、
YES → これまで通り
NO → ユーロ離脱+大混乱
という構図です。
日本だと迷わずYESになるでしょうが・・・
国家レベルのギリギリの交渉。
ギリシャは、最後の最後には、ドイツが折れることがわかっていて交渉を続けているのです。
このバランス感覚はスゴイ!
さすがは、偉大なる地中海文明のルーツ。
賛否両論ありますが、
どのような手段を使っても、「なんとかする力」を持っている国ってすごい。